あなたの肌に良いことをわかりやすく伝える副院長のコラム

日焼けについて【1】

 紫外線の皮膚への影響に関しては、1970年代以降、南半球でのオゾン層の破壊、オゾンホールの出現、またオーストラリアなどで皮膚癌の患者さんが急増したことを契機に広く知られるようになりました。その後、フロンガスの撤廃などもあり、オゾン層が破壊されるスピードは穏やかになったとされていますが、それでも気象庁のデータによりますと、私たちの住む札幌市では1990年代以降も降り注ぐ紫外線の量は緩やかに増加しています。
紫外線の量は時期と時間によって変動があり、1年間で見ると、4月から9月に1年の約70~80%が降り注ぎ、一日で見ると、正午をはさむ2時間(10時から14時)が強くて1日の60%程が地表に到達します。
(出典;紫外線保健マニュアル)
 

 紫外線の影響としては、一時に大量の紫外線を浴びた場合の過度の日焼け、すなわち火傷の他、少量でも長年にわたって浴び続ければ慢性的な影響として「光老化」が挙げられます。この「光老化」こそが、あなたの肌にとって大敵である、シミ、シワ、くすみ、また皮膚がんの原因となるのです。
この「光老化」を引き起こす紫外線を防ぐためにはどうしたらよいのでしょうか?様々な対策をご紹介してまいります。
 1980年代から、紫外線対策を国家レベルでひろく行っているオーストラリアでは「Sun Smart Program」と銘打って、『スリップ・スロップ・スラップ・ラップ(Slip, Slop, Slap, Wrap)』というスローガンを合言葉にしています。『スリップ・スロップ・スラップ・ラップ(Slip, Slop, Slap, Wrap)』とは、紫外線予防のために取るべき具体的な行動の指針を示す言葉です。

長そでのシャツを着よう! (Slip on a long sleeved shirt!)
日焼け止めを塗ろう! (Slop on some sunblock!)
帽子をかぶろう! (Slap on a hat that will shade your neck!)
サングラスをかけよう! (Wrap on some sunglasses!)

~出典;オーストラリア大使館HP~

 これらの行動指針はしっかり遵守されていて、帽子をかぶらない子どもが校庭で遊ぶことや戸外活動授業でさえ禁止してしまうという学校もあり、また紫外線の当たる部分にはすべて日焼け止めを塗ることを義務づけ、各クラスには日焼け止めが常備されているそうです。 
紫外線防止機能の備わった素材を用いた、シャツやパーカー、つばの広い帽子などは、いまは簡単に手に入れられますし、デザインも豊富な中から選べますので、すぐにでも使ってほしいと思います。
 

 

 今回、詳しく触れたいものは、「サングラスをかけよう」です。 サングラスをすることで、眩しさが軽減され、また網膜の直接的な障害も回避することができます。それだけでありません。2012年に当時の大阪市立大学の研究グループがClinical and Experimental Dermatologyというイギリスの権威ある雑誌に掲載した論文によると、マウスを用いた実験で耳だけに紫外線をあてたマウスと、目だけに紫外線を当てたマウスを比較すると、耳だけに紫外線を当てたマウスは耳の部分だけが日焼けしたものの、目だけに当てたマウスは、全身の皮膚のメラニン量が増加しました。目に入った紫外線の刺激が脳につたわり、「防御反応」として皮膚においてメラニンの増加を促すホルモンが脳から分泌されるのです。このような理由でサングラスをかけることが意外と大切なのです。
 最後までお読みいただきありがとうございました、次回は日焼け止めに関して述べたいと思います。

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